伝統ある日本小児整形外科学会学術集会を岐阜市において開催させていただくことを大変 光栄に感じています。岐阜市での開催は20年ぶりです。1995年の11月に第6回の本会を松永隆信教授が同じ長良川国際会議場で開催させていただきました。当時、この会議場は安藤忠雄氏が設計し、学会の直前9月にこけら落としをすませたばかりの真新しい建物でした。1995年は、1月に阪神淡路大震災があり、わが国の生産年齢人口がピークを記録した年です。その後人口は減少し日本は少子社会となりました。 私は、2009年から5年間、日本小児整形外科学会の理事長を勤めさせていただきました。 少子高齢化によって、小児整形外科学会は窮地にあります。この窮地を好機に転じるにはどうすればよいか、長年考えてきました。 この学術集会では、希少疾患(rare diseases)に光を当てたいと思います。希少疾患の概念は、時代や地域によって変化します。時代の流れで、rare diseasesがcommon diseasesに転じ、あるいは逆にcommon diseasesがrare diseasesに変わることはしばしばおこります。希少疾患はそれ自体重要な疾患ですが、医学研究の上からも新しい視点を与えてくれるというインパクトがあります。rare diseasesで使われた研究手法や、診断・治療技術がcommon diseasesに敷衍できることはよくあります。そもそも小児整形外科全体が希少疾患になりつつある現在、希少疾患を大切にする姿勢が未来をひらくのではないでしょうか。 希少疾患の医薬品開発を促す「希少疾病用医薬品等の研究開発促進制度」や難治性疾患克服研究事業の臨床調査研究分野の対象を指定した「特定疾患」にみられるように、希少疾患克服や小児医療推進には政治のちからが必要です。特別講演を、衆議院議員の野田聖子先生にお願いしました。高齢者社会の次にくる子どもの未来、日本の未来を見据えたご講演がいただけると思います。 ここ数回本学会は続けて都会で開催されました。今回は、豊かな自然に囲まれた岐阜市で都会をはなれ、地域の視点から小児整形外科を見直してください。きっと、心にひびくメッセージがみつかるでしょう。 現役の教授をしりぞいた名誉教授が学術集会の会長をさせていただくのも、日本小児整形外科学会の歴史では、はじめてのことです。非力な名誉教授の学会開催を支えていただいた組織委員会(LOC)の先生方に深謝します。おかげさまで最多の演題数が集まりました。
第26回日本小児整形外科学会学術集会 会長 清水 克時 (岐阜市民病院脊椎センター長、岐阜大学名誉教授)
平成27年10月1日(木)
綾仁冨彌先生は岐阜大学整形外科の初代教授です。 1952年に教室を開講。退官後、岐阜県立希望が丘学園*の初代園長として岐阜県における小児整形外科の礎を築かれました。 岐阜市で開催する日本小児整形外科学会の教育研修講演にお名前を冠しました。 *(平成27年9月から「岐阜県立希望が丘こども医療福祉センター」)